自己紹介(第三回)鍼灸師を目指して
私自身、まさか鍼灸師になって治療をするなど、以前には想像すら出来ませんでした。
しかし、憧れはありました。
体が悪い人を治してあげたい、健康を取り戻してあげたい、そのようなことが出来るようになればどれほど喜んでいただけるだろう。
そして、その時の心の中では、
(もし本当にそうなったら良く儲かるだろうな・・・)
という考えがあったことは否定できません。
医療というのは、金儲けではなく人助けであることは私もよく理解しているつもりですし、学校でもそう教えられます。
が、それが現実ではないことは、皆さんよくご存じだと思います。
今、私の心の中には、金儲けと人助け、どちらにウェートを置いているのかと聞かれれば、迷わずに人助けといえるように、やっとなりました。
鍼灸師の資格を取ろうと思った直接のきっかけは従兄弟の突然死だったのですが、そのころには、セラピーの理論をどのように説明するのが良いのだろうと考えていました。
その理論はやはり医学的に説明できるものでなければ多くの方にご理解をしてもらうのが難しいとも感じていました。
基本的な考え方は、福増先生の著書から多くの示唆をいただいたのですが、当時の自分の医学的知識ではまだまだ納得が出来る説明にはほど遠いものでした。
医学の知識を習得するためには、医師になるのが一番良いことはわかっていましたが、まず医学部に入学することが学力不足で非常に困難(まず無理)ですし6年の時間と学費を考えるとあっさりとあきらめました。(というよりやっぱり無理でしょう)
残る選択肢は、医学部以外で医学を学べるところということになります。
どんな学校や資格があるのか?
その資格を取るためにはどの学校を選択したらよいのか?
私の周りには代替医療をしている知人は多かったのですが、国家資格を持った人はいませんでした。
代替医療をしている知人に聞くと、
「別に国家資格でなくても民間資格の学校がたくさんあるのでそちらへ行けば良いんじゃない。」
という答えが多くありました。
しかし、民間資格の学校を卒業して資格を取っても就職が出来ず、自営しても収入が安定しない知人の例が身近にあり、悩んでいた時期でもありました。
やはり国家資格を取ろうと思いインターネットで調べ始めました。
医療をするには「資格」が必要なんですが、この資格というのは国、または都道府県知事の「免許」となります。
ですから、日本においては厚生労働大臣あるいは都道府県知事が発行した免許取得者だけが医療行為をできるわけです。
あらためて医療の資格制度というものを調べてみると、法律上「治療」が出来るのは医師(歯科医)だけです。
一般に医療機関で働いておられる看護師、理学療法士、作業療法士、放射線技師などの国
家資格取得者は、医師の指導監督の下で医療行為を行える資格で、独立して開業は出来ません。
では、独立開業して「治療」が行える資格はと調べると
鍼灸師
按摩指圧マッサージ師
柔道整復師
の3つの資格が独立開業して「治療」が出来る資格となります。
助産師も独立開業が出来ますが、医療行為としては出産だけです。
「治療」という言葉の法律上の解釈も私は知りませんでした。
医師はすべての治療行為が出来ることは皆さんご存じですね。
ただ、上記の3つの資格の「治療」とは医師の持つ治療行為のうち、それぞれの資格により法律で決められた範囲で行うものと限定されています。
法律ではこのことを「治療行為の限定解除」と規定されています。
つまり、鍼灸師の場合は「鍼と灸を用いた治療」に限定されます。
このように、3つの資格に限り医師の持つ治療行為のうち限定された範囲での治療が法律で認められていて、これを「施術行為」と呼びます。
それと、「医療類似行為」ですが、これは全く認められていません。
もともと○○類似行為というものは違法行為に対する法律用語です。
もし、医療類似行為が認められているなどと言っている「先生」?がいれば、それは偽物か勉強不足です。
法律でも、はっきりと医療類似行為は禁止されています。
この3つの資格のうちなにを選択するのが良いのか?
私は、東洋医学に興味がありましたので東洋医学を学べる資格となると、鍼灸師と按摩指圧マッサージ師の2つになりました。
柔道整復師は、東洋医学の履修はありません。
そして、鍼灸治療は針とお灸を使うわけですが、治療のために体内に異物を入れること、また人為的にヤケドを起こすことが出来る資格は、医師以外では鍼灸師だけということまでわかりました。
ちなみに一般に鍼灸師と呼んでいる資格は、古くは飛鳥時代の大宝律令に定められている名称で正式には「はり師」「きゅう師」と平仮名で表記されて別々の免許となります。
でも、それ以外にもいろんな民間資格があって独立開業を皆さんされておられます。
また、現在は国家資格ではないけれど将来国家資格になりますよと謳っている民間資格もあります。
これはどうなってるの?
代替医療をされている方に何度聞いても、この部分の説明は納得できず曖昧なまま終わることがほとんどです。
入学前に鍼灸専門学校の先生に聞いてみました。
質問1 将来そのような資格は国家資格になるのでしょうか?
国家資格にならないと断言することは出来ませんが、非常に難しいと思います。
少なくとも3年や5年でどうなるものではないでしょう。
その根拠として、国家資格というものはそれを規定している「法律」に基づいています。
ですから、国家資格でないものを新しく国家資格にしようとすれば「法律」を新しく作る必要があります。
法律を作るのは国会の仕事ですが、法律原案の作成は担当省庁や政党で行い、予算も付ける必要があります。
その作業はどこまで進んでいるんでしょうか?
確かに国会議員や担当省庁に陳情しておられるのは事実ですが、具体的な作業はどこまで進んでいるのでしょうね。
仮に新しく国家資格になったとしても、民間認定資格の認定証がそのまま国家資格の免許にはならないと思います。
まず、医療の国家資格に規定されている学校の履修時間と学力の証明をどうするのかという問題があります。
独立開業できる医療の国家資格は上記の3つですが、いずれも3年間、文部科学省令、厚生労働省令で定めた履修が義務となっています。
少なくとも同等の履修の証明が必要でしょう。
その証明が出来たとしても、あくまでも受験資格であってその後国家試験を受験し合格する必要があります。
何十年も前の話ならともかく、現在に於いて民間認定資格がそのまま無試験で国家資格に移行するなどは考えにくいんではないですか。
私はこの答えを聞いて納得しました。
この答えを聞いたのは7年前です。
現時点でも国会で審議されている気配はありません。
でも、街の中には○○セラピー、○○療法、○○マッサージなどいっぱいやっているじゃないですか。
確かにそのような現状があり、患者さんからも「よくわからない」ということも聞きます。
法律上は「治療」という言葉を使わない限り合法ということになってます。
ただ、免許に使われている言葉はその資格を表す言葉ですから使うことは出来ません。
たとえば「マッサージ」という言葉は厳密に言えば国家資格を取得した免許保持者しか使うことは出来ません。
もし、「マッサージ師」と言う言葉を無免許で使うとなれば資格詐称となり法律違反です。
医師以外の人が医師だといえばどんなことになるでしょうか。
ただ取り締まりが行われていないという現状がグレーゾーンを拡大しています。
ということは、治ります、治療します、という言葉を使わない限り捕まることはないわけです。
このことは、私も代替医療をしていましたのでよく聞いた話です。
ここまでの話を聞いて自分が「医療」ということに関してなんだか少し勘違いをしていたのかな・・・と思い始めました。
鍼灸師を目指す前の私の心の中では
国家資格は難しい
お金もかかる
時間がない
の3つが頭の中を支配していました。
国家資格の試験は今までの経験でなんとかなるだろうと思っていました。
でもこの考えは後でえらい目にあうことになりました。
お金と時間の問題は私にとって重大でした。
(家族の生活はどうするんだ)
頭の中は不安でいっぱいです。
(だったら民間資格でも良いんじゃない)
とも思っていました。
でも、不思議と本気でやればなんとかなるものです。
鍼灸師を目指すことは麻田先生にも相談しました。
先生は
「資格取得を目指すのではなくて知識を習得することに重点を置くほうが良いんじゃないか。確かに世の中では資格を重要視して、資格がなければなにも出来ないという現実はあるが資格取得を重要視しすぎると知識の応用が利かなくなるよ」
さすがです。
お金の問題は奨学金をいただけることになり助かりました。
また借金が増えてしまったわけですが、そればかり気にしても仕方がありません。
ここからは実際に私が鍼灸専門学校で体験し感じたままを書きます。
入学式当日
この歳で、今から鍼灸師になろうとするような人は、いるんだろうか?と思いながら学校へ行きましたが、私より年上の方が何人もおられ、ものすごく心強い思いを持ちました。
学生の中には、すでに柔道整復師の資格を取得して開業準備している人もいます。
(まー私は今まで代替医療でやってきた経験があるからなんとかなるだろう)
実は、私は3年間学校へ行って適当に授業を受けていれば国家試験など簡単に合格できるかな、などと内心思っていたのです。
この考えが甘いとわかるのに時間はかかりませんでした。
授業が始まりました。
解剖学、生理学、東洋医学概論、経穴経絡概論どれも初めて本を開く授業ばかりです。
(先生の言っている意味がわからない!)
特に困ったのは東洋医学です。
東洋医学概論は、先生が日本語で話しているのはわかるのですが内容はさっぱり理解できません。
外国語で授業を受けているみたいなものです。
経穴(ツボ)は毎週のように小テストがあります。
日本人を長いことやってきたのですが、教科書には見たことがない漢字ばかり並んでいます。
「先生、この漢字はなんと読むんですか?」
こんなレベルの質問をせざるおえません。
まるで小学生です。
国家試験に出る経穴は最低でも365個あります。
それらをすべて漢字で順番を間違えず覚えなければなりません。
それだけでなくその位置を正確に解剖学用語で覚えることも必要でした。
テストでは漢字を少しでも間違うと×がつきます。
まさかこの歳で漢字の書き取りをするなんて思いもよらなかったんです。
(こんな細かいことまで覚えるの?)
解剖学や生理学は代替医療ですこしかじっていたので大丈夫だろうとタカをくくっていました。
でも、全然レベルが違うのです。
覚えなければならないことが山のようにありました。
(えらいこっちゃ、どうしよう)
入学する前まで持っていた自信は何ら根拠のない妄想だったと気がつきました。
授業は月曜から金曜まで一日4時間あります。
出席率は一般科目80%以上実習90%以上なければ留年になってしまいますので滅多なことでは休めません。
(こんなことが3年も続くの?)
甘かったと後悔しても後戻りは出来ません。
なにしろ背水の陣です。
いろいろありましたがなんとか3年間無事に過ごすことが出来ました。
国家試験の直前は仕事なんてそっちのけで勉強しなければならず毎日冷や汗の連続でした。
でもなんとか国家試験にも合格出来たのは周りで支えてくれた家族や友人がいたからだと思います。
代替医療を目指す方たちは「困っている人の役に立ちたい」とか「なんとか治してあげたい」という高い意識を持たれた方が多いと思います。
私もそう思っていました。
この「意識」の部分では医師を目指す方よりも高いのではないかとさえ思います。
私の場合、鍼灸師の資格取得を目指し始めた頃は前にも書いたように、国家資格は難しい、お金もかかる、時間がないという理由で悩みました。
その理由があって民間資格の学校へ行こうかと思ったこともありました。
でも、民間資格の学校に行こうとする理由は
資格が簡単に取れる、鍼灸師の学校よりお金がかからない、時間も短くてすむ
といった逆の理由なんです。
この逆の理由に気がついたとき、よく考えてみるとちょっと変どころか、まったく本末転倒の考え方なんだと思いました。
鍼灸師を目指す前の本音は「治療してあげたい」です。
しかし民間資格では「治療」は出来ません。
ということは建前として「リラクゼーション」とか「癒し」と言わざるおえないんです。
でも私の本音は治療です。
私は、患者さんに対して建前では「リラクゼーション」でも本音は「治療」といった嘘はつきたくないという思いでした。
国家資格ではない民間資格を取得するセミナーや学校はたくさんあります。
そのレベルは玉石混合です。
大抵のスクールは、期間が1年、長くても2年でしょう。
授業時間は年間で500時間以上というところは、まずないと思います。
ひどいのになると週2日の授業しかなかったり、もっとびっくりしたのは、通信教育だけで実技指導はたった4~5回程度しか行わずに資格を出している学校もあります。
病気や怪我を治す技術がこんなにお手軽にマスターできるのでしょうか?
私は疑問に感じます。
実際にあった話なんですが、ある鍼灸専門学校に、○○治療師(民間認定資格)を養成している学校の先生が、学生として入学してきました。
治療師を養成する学校で教えている先生です。その先生が入学するのです。
1年生の4月。授業が始まりました。
彼は、得意満面で学校へきていました。
「何でもわからないことがあったら聞いてね!」
しかし、夏休みが始まる頃には顔色が変わっています。
授業についていくのが、やっとの状態でした。
これが現実です。
私が卒業した学校の同級生も、鍼灸師を志す前に別の治療師養成スクールに行って卒業しています。
その資格では、全く役に立たないから鍼灸師を目指したわけです。
その彼も、「全くレベルが違う」と言っています。
医療資格がなぜ国家資格になっているのかということなんですが、医療は基本的に人体に有害なものであるということです。
その「有害」なことを医学的な知識と技術で「有益」に使うことが医療です。
その最低線の知識と技術が国家資格ということになります。
この知識と技術が不足していれば患者の生命が危険にさらされることになるからです。
私は、鍼灸師になる以前には、
「医者なんて・・・・・・」
「こんな治療をして治るはずがない・・・」
などなど、ことあるごとに医者の批判をしていました。
しかし、鍼灸の勉強をしていく過程で、こんな勉強を医者は6年もやったんだという現実にぶち当たりました。
大学の医学部で、たった一日とはいえ解剖実習を経験しました。
解剖実習というのは、遺体を解剖学の教科書に沿って細かに分類して照らし合わせていく作業です。
医学部の学生は、約2週間ほど朝から晩まで実習にかかりっきりです。
全員真剣に、メスやピンセットを忙しく動かしています。
ものすごく感動しました。
医者になるのに、こんなに勉強しなければならないんだ、ということを目のあたりにした瞬間、医者に対する不満は解けました。
大学の医学部に入学することだけでも大変なのに、入学してからもこんなに勉強して(それも6年間)やっと国家試験を受験できる資格をもらえます。
国家試験に合格してからも数年から長ければ10年くらいは修行が続きます。
しかし、これだけ勉強しても、病気を治すことが難しいという現実があります。
鍼灸師の場合、専門学校で3年間の勉強をしてから国家試験になります。
私の場合、卒業後すぐに開業しましたが、こんなケースは珍しいと思います。
さて、私も治療家として一応国家資格を持ったプロということになるのですが、プロにもいろいろなレベルがあります。
国家試験に合格した頃のプロのレベルは、たとえていうとプロ野球の二軍の補欠くらいだと思っています。
二軍の補欠でしかない?その程度なのか・・・と思われた方へ。
プロ野球の二軍の選手になろうと思えば、まずドラフトに選択されることが必要です。
ドラフトに選択される選手は、大抵がリトルリーグ時代から高校、大学にかけてエースで4番という選手が多いでしょう。
もちろん甲子園にはほとんどの選手が出ています。
地域では、野球をしている学生の間で、知らない人はいないくらい、アマチュアとしては有名な選手ばかりです。
もし、二軍の補欠選手が街の草野球に参加したらどうなるでしょう?
まず、素人はついて行けません。
それくらい野球がうまい選手でも、二軍の補欠なんです。
その二軍の補欠から一軍のレギュラーを見たときに彼らは
「とてもかなわない」
と言っています。
これがプロのレベルなんだとは思いませんか?
日本人は、不思議なことに外国の技術が大好きなようです。
アロマテラピー、ホメオパシー、カイロプラクティック、アーユルヴェーダ、タイ式マッサージなどですね。
どれも、すばらしい伝統的医療技術だと思います。
そして、それを日本で広めようとされる努力にも敬意を持っています。
ただ私は外国で用いられている伝統的療法は、その国の歴史や文化を理解しなければ使いこなすのは難しいのではないかと思っています。
伝統的医療というのは、その地域の気候や風土に合わせて発展してきた医療技術です。
そして、その医療で使われる素材(オイルなど)は、元来日本には無いものを使うことが多くあります。
気候や風土、食べ物そして地場が違うものが、日本人の体質に合うのでしょうか?
伝統医療に使われる素材はその国では医薬品として規制されているものが多くあります。現地では国家の医療資格を持たなければ扱えないものもあります。
しかし、日本ではそれらの多くが医薬品ではなく「雑貨」として扱われるため医療資格がなくても扱えます。
医薬品というのは副作用があることが前提になっていて、その副作用があるから知識と技術を持った医療資格者が扱うわけです。
もし、現地で無資格者が扱えば当然罰せられることになりますが、日本では規制がありません。
エハン・デラヴィさんのお話です。
彼はスコットランドで生まれ日本人の奥さんと結婚し20年ほど前に来日しました。
エハン・デラヴィさんと私は10年くらい前からのお付き合いでイタリアのダマヌールとスコットランドの聖地ツアーに私が参加したことは前に述べたとおりです。
彼は日本にきてから日本語を習得されました。
どうやっておぼえたの?と聞くと彼は
「テレビの時代劇で覚えた。だから最初は時代劇の変な日本語をしゃべっていた。いつも『この印籠が目に入らぬか!』といって日本人を笑わせていた」
非常にユニークな感性の持ち主です。
彼は東洋の考え方に興味を持ち弓道をたしなみ「氣」の研究をしています。
そしてなんと鍼灸師の国家試験を日本語で受験して合格されました。
鍼灸師の国家試験というのは、東洋医学の問題が約4割あります。
東洋医学を学ぶ上に置いて経穴(ツボ)は絶対に必要なんですが、日本人を50年やっている私でも、見たことも聞いたこともない漢字がたくさんあり、大変苦労したことは前に述べたとおりです。
もちろん、それをすべて覚えなければ試験に合格できません。
それを、アルファベットしか知らなかった彼が成し遂げたのです。
すごい努力があったと思います。
次の話を読んでどう思われますか?
日本語の話せない外国人が来日して茶道を1年習いました。
帰国して茶道の教室を開きました。(別に華道とか武道でも同じです)
もし、このようなことをしている外国人がいたとすれば、日本人としてどう感じるでしょうか?
茶道の先生からすれば、青天の霹靂といったところでしょう。
本当に出来るの???
と大方の日本人は思うのでしょうが、日本の茶道を知らない外国の人にとっては、たった1年習っただけのその技術を初めて見るものですから、すごいものだと信じてしまうかもわかりませんね。(ちなみに私は全く茶道の心得はありません)
代替医療に携わっておられる方は、熱心な人が多いです。
ただ、外国の伝統的な医療技術を日本に紹介する場合、基本的にその技術が育まれた国の国家資格を取得して、初めてプロではないでしょうか?
外国での公式な資格取得というのは、言葉の問題もあり大変難しいと思います。
エハンさんのように私にそれをしろと言われても私には自信がありません。
ですから、日本の国家資格を取りました。
もし、日本の国家資格を取得することが難しいと感じ、外国の伝統的医療技術を、その国の正式な資格もなしに行うとすれば、医療事故につながる危険性をはらんでいます。
それは、基礎的な医学知識がないために起こるものです。
医療技術に限らず、技術を習得するというのは大変な時間と労力を必要とします。
また、満足に習得できていない場合は、治る病気や怪我も治らずその技術への信頼もなくなるため、すばらしい伝統的医療技術をおとしめることにもなってしまうのではないでしょうか。
もっとも、国家資格を持っているから治療技術は間違いないかと言われれば、決してそうではありません。
国家資格を持った「プロ」でもヘタクソはいます。
これは、自動車の免許は持っているけど車庫入れは出来ないとか高速道路を走ったことがないというのと同じです。
国家資格を持たれていない方でもすごい技術をもたれた先生もおられます。
しかし、患者さんの立場から見たときにその先生のレベルを判断する材料はやはりその「資格」の信用だと思っています。
ですから、私は「医療」として日本で外国の技術を用いるのであれば、まず日本の正式な医療資格(国家資格)を取得するのがスジではないかと思います。
私の場合は、患者さんに対して建前では「リラクゼーション」でも本音は「治療」といった嘘はつきたくないので国家資格を取得したことは前に述べたとおりです。
ただし、「医療」としてではなくではなく「リラクゼーション」として行うのであれば医療資格はいりません。
その場合は、伝統医療とか代替医療といった「医療」という言葉を使うことは、何も知らない一般の患者さんを迷わせることになるのではないかと危惧しています。
一般の患者さんはこのような現状をまったくご存じないのですから。
数年前に年賀状をいただいた中で、非常にうれしかったことがありました。
それは、代替医療の業界に長くいた友人が、鍼灸専門学校へ行くことに決めた、という一言が年賀状にあったことです。
早速、彼に電話して、いろいろ話しました。
やはり、正確な医療の知識を得なければ、患者さんに迷惑をかけることになるということと、今後、治療行為をするには国家免許が必要であり、その道に進もうということでした。
私はものすごくうれしく、彼の決定を心から応援してあげたいと思っています。
その後彼は2011年(今年)に国家試験に合格されプロの治療家として活躍しています。
このような思いを書いたのは私自身が代替医療を行っていたときにも、同じ考えを持っていましたので、自分自身に対する戒めの意味もあります。
いろいろなご批判があることを承知の上で書きました。
しかし、その意図は患者さんにとってどの先生を選べばよりよい医療を受けることが出来るのか、という一点につきます。
現代医学では対応が難しい病気がたくさんあります。
その現代医学が対応を苦手としている分野で、今後代替医療は大きな期待を背負い、これからの健康問題を大きく解決に導く波になろうかと思います。
「医療」としての代替医療、伝統医療を日本で定着させるために業界のレベルアップを図らなければ「オタク」の集まりでしかすぎないかもしれません。
「医療」というのは、人類が追い求めている究極の技術である、と言っても過言ではないと思います。
代替医療を目指される方にとって大切にしていただきたいのは、すぐに使える治療技術ではなく、解剖学、生理学を基本とした基礎医学を重視していただきたいのです。
私の場合、解剖学や生理学を基本とした基礎医学は、退屈で覚えて理解するのは苦痛すら感じました。
しかし、基礎医学は代替医療の分野においても非常に重要です。
満足な基礎医学の知識なしに治療を行ったとすればどうなるでしょうか。
患者さんの体調を問診して判断しなければなりません。
もしその判断を誤れば、命の危険があるかもしれません。
日本の医療資格の国家試験は、確かに難しいと思います。
しかし、それを理解しなければ、「先生」を頼ってきた患者の生命に危険が及ぶのです。
時間とお金もかかります。
でも、めげないでください。
50をすぎた私でも、なんとか出来たのですから。